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お知らせ

シリーズ「環境を考えよう」 ヨット第2弾

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「まちの保育園 鎌倉」の子どもたちが日頃過ごすエリアは、海、山などの自然に恵まれ、神社などの歴史ある建物が豊富なため、その地域で古くから暮らす人もいれば、観光客も多く訪れます。
だからこそ、自分たちの世代で地域の生態系を壊さないよう、心豊かに暮らし、その居心地の良さを訪れる人にも知ってもらえるよう、ひとりひとりが少しずつ意識して行動することの大切さを子どもたちへ伝えています。
これらをシリーズ「環境を考えよう」として、園の活動報告を通じご紹介していきます。

2020年10月5日「まちの保育園 鎌倉」と「おうちえんTelacoya921」の子どもたちは、葉山の海でヨットに乗ってきました。保育園としては2回目となり、今回も地元の方にご協力いただきプロセーラーの伊藝徳雄さんと、株式会社 葉山マリーナーに子どもたちの体験の場をご提供いただきました。

今回もヨットに乗る数日前、伊藝さんが子どもたちに会いに来てくれました。
鎌倉の子どもたちは昨年はじめてヨットに乗り、今回は2回目です。感じ方、考え方に変化があるでしょうか。

ヨットの前に

まずは、ロープワークです。
風の力だけで走ることのできるヨットでは、係留するとき、セールを操作するとき、船体を操るときなどに大小さまざまなロープを使うため、ロープワークが不可欠です。
強い力がかかるロープは、挟まれたり、切れて人にあたると大人でも大怪我をします。取り扱いには細心の注意が必要ですが、子どもたちに「気をつけてね」といっても具体的にどうすればいいか分かりません。

伊「(ポイっとロープを床へ放る)みんなの両側は海。歩くところにこれがあったらどうなる?」
子「つまづいちゃう! ころんじゃうかも?」
伊「そうだね。ヨットの上だったら海に落ちちゃうかもしれない。」

ではどうすればいいでしょう。
しまっておく! どうやったらしまえるかな?
落ちないようギュッと! 使う人はすぐ出せそう??

ロープワークを教わってから、すぐ試す子もいれば、やり方をじっくり観察する子もいます。それぞれに試行錯誤してなんとか完成したときの「できた!」はとても嬉しそうでした。

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波はどこからくる?

海には波があります。
あたり前のように感じますが、その波はどこからくるのでしょう。

風が吹くことで海水を押して波をおこします。風が強く吹いたり、弱く吹いたり、その強さによって波の高さも変化し、地球上ではかならずどこかで風が吹ています。例えば、ハワイの波は北極からきているそうです!※ さて、鎌倉の海の波はどこからきているのでしょう。みなさん想像してみてください。
※冬場にかけて北極圏に近い北海道の北東海域 オホーツク海やベーリング海で猛烈に発達した低気圧が生み出す強風によって生まれた波が数千キロの旅をしてハワイにビックウェーブを届けています。

ヨットから海を見下ろしていたかと思えば、目線以上に高い波がたつこともあります。海は広大ですが、自分たちに見えている範囲はとても小さく、波がたつほど一層海への視界は狭くなります。

そんな海に、もしゴミがあったらどうでしょうか?
海に沈んだゴミだけでなく、浮かんでいるゴミですら視界に入らないこともあるかもしれません。私たちにとって「見えるゴミ」と「見えないゴミ」は、海で暮らす生き物からすればどれも同じ、すべて命にかかわる大きな問題です。

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今回ヨットに乗るのは年長クラスです。自分たちが良ければいいのか、そんなことを日ごろから考えている子たち。だからこそヨットに乗ってからも意識してもらえるように伝えています。

海へ

事前に「おうちえんTelacoya921」の友だちからお手紙をもらいました。ヨットに乗る当日、ようやく会える友だちに期待と緊張で胸をふくらませ、葉山マリーナでいよいよ合流しました。こわばった表情ながらお互いに自己紹介し、あとはすんなりとバディ(2人1組)を組んでいました。

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前回は2組に分かれましたが、今回は海の状況を考え全員いっしょに乗ることになりました。いよいよ出港です。

前日の風邪の影響で、風は落ちたのにうねりだけが残り、子どもたちを乗せたヨットは大きく揺れました。自分たち以外にも大学生のサークルや日本代表の練習場面にも遭遇し、大きな声で「こんにちは〜!」「がんばって〜!」とお互いに挨拶していました。

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少し落ち着いてきたところで、ヨットを操縦させてもらったり、先端へ移動して景観を眺めて楽しみます。
途中、海を漂うプラスチック製のゴミを見つけると、すかさず「ゴミだ! 海がよごれちゃう!」との声があがり、海にあるべきではないものという意識が身についてきているようです。

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あっという間に乗船時間は終わり、もう一つのお楽しみであるランチタイム。
各々ヨットの感想…というよりも、隣り合った違う園の子同士で和気あいあい「木登り上手だよ!」など交流を深めていました。

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環境を考える

ランチの後は、ヨットの帆を海にみたてて復習です。
どうやったら波は起こるのか?
高い波がきたら視界はどうなる?
風のつもりで帆を上下に動かし、擬似的に波をつくります。小さい波のときは中央にいる子どもたちはまだ見えています。「大きい波をつくってみよう!」と掛け声がかかるとみんな思い切り帆の大きな風を吹かせるように波を再現します。あっという間に中の子どもたちは見えなくなってしまいました。

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次は、大きな波がどのくらいの速さでくるのか体験してみます。大人が帆の両端を持ち、子どもたちは迫りくる帆から全速力で逃げます。風は波をつくり、波がいろんなものを運びます。ときにはゆっくりと、ときには遥か彼方まで。それが人間の放ったゴミでないことを願います。

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こうして今回の体験も無事終了しました。
ご協力くださいました関係者の皆さま、ありがとうございました!

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体験のあと

子どもたちは印象に残ったものを絵に描きました。
波の大きなうねりをダイナミックに描いたり、ヨットを中心に内部のパーツ、ヨットから見えた風景、同乗したスタッフを中心に描く子も笑。

後日、鎌倉市内の「裏路地アートフェスティバル」へ絵を展示していただきました。

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【協力】
伊藝徳雄(プロセーラー、 元「アメリカズカップ2000」日本代表)
http://igei.net/
https://www.facebook.com/norio.igei

葉山マリーナ
https://hayamamarina.com/

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